モンゴル3日目の朝。7:00頃にストーブをつけるためモンゴル人がやってくる。
夜から朝にかけてはゲルの中でも吐く息が白くなるほど寒い。
他のゲルからも煙が上がり出した。
朝食は昨日と同じボルソックとスーテーツァイ。寒いモンゴルではもっとガッツリと食事をするのかと思っていたが忙しい日本人と同じような軽い朝食のようだ。
とある方のブログで読んだのだが、モンゴルでは朝食は「飲む」と表現する。たとえ朝食で固体を食べたとしても「朝食を食べた」ではなく「朝食を飲んだ」という。
羊たちはみんなで寄り添って眠っている。
この牛は妊娠中。数日以内に産まれるそうだ。
残念だが今日も朝から曇っている。
なんとなく地面の色が昨日より緑に色づいてきた気がする。平凡でゆったりした暮らしだが季節の変化を日々感じられる暮らし。それも贅沢。
点々とした黒いものは全て家畜の糞。
昨日登った丘の上にも糞がたくさんある。何もない草原で昼寝でもしようと思っていたのだが、レジャーシートがないと無理そうだ。
ゲルの中で何もせずボーっと過ごすのもいい。家畜が中を覗いてきたり、横切ったりする。一人だけど常に家畜の声が聞こえるので孤独感はない。
羊たちは人間に慣れている。特に子羊たちはじっと見つめてくる子が多い。
乗馬の先生。
この馬はずっとここで一人で草を食べていた。
なんだか私みたいだな。一人での食事は落ち着くから大好き。
3日目の昼食はモンゴルの焼きそば、ツォイワン。初日夕食のうどんとは麺が少し違うようでこちらはモチモチ感強め。これも日本人の口に合う味で気に入った。
しかし残念ながら、モンゴルでしか味わえないものにはありつけなかった。この焼きそばもミルクティーも日本で簡単に手に入る食材で作られている。
母屋のゲル。ここには常に誰かがいる。
この子はもう自分の足で自由自在に動ける年齢だが、まだ母乳を飲んでいた。みんながいる前で授乳を始めることも何度かあったので少し戸惑った。
狭いながらも生活の工夫が所々に。SIMカードも挟まっている。
SIMカードは一枚2,000円で購入できる。2週間前後・5GB前後の通信が可能とのことだったがここではほぼ繋がらないと思ったほうがいい。家族との緊急連絡用に念のため購入しておいたがLINEの送受信もそこそこ時間がかかり、写真は何度やっても送信できなかった。
シャワーを浴びるために車で30分ほどかけてナライハの街へ向かう。(送迎+シャワー利用代¥3,500)
日本政府は、モンゴル全国において草の根無償を32年間にわたり実施している。去年11月にもナライハ区保健センターへ支援をしており、これにより初めて手術用内視鏡の整備が整ったようだ。
このあたりの家はちゃんとした家と庭にゲルの両方を建てているという不思議な家庭が多い。カラオケ店も数件あった。この時のドライバーさん(女性)は千葉で働いていた経験があり、日本語も上手。「シャワーのあとカラオケ行こうよ!」などと誘ってきたり、面白いおばちゃんだった。
遊牧民の家にシャワーはないため、ナライハの街には数件のシャワー施設がある。
男女別に合計10個くらいの個室があり、脱衣スペースとシャワースペースでしっかり分かれている。シャンプーの貸し出しあり・サンダルも備え付けで意外にしっかりした造り。
お湯の温度調整はできず、温度は安定しなかったが途中で水が出てくることはなかった。
遊牧民の子供とSさん。
Mちゃんとゆるっとモンゴル人ガイドが早朝に帰路についたため現在の滞在者は私とSさんの2人となった。
遊牧民の子供その②。昨日はいなかったがどこからか車に乗ってやってきた。さらに一番上にもう一人男の子がいるようだが滞在中は合わなかった。
別のツアーの日本人たちがやってきた。羊を追いかけたり、母屋でミルクティーを飲んだりしてまた去っていった。
その間、日本人グループが苦手な私はゲルに籠っていた。
私のゲルに来客。
私のゲルに来客。その②
子羊たちはこの隙間に体をねじ込んで脱走することがある。それを捕まえるのは私達の仕事。
脱走した羊追いかけたり、サッカーして過ごすモンゴルの夕方。シープドッグは5匹もいるのに仕事してない。#海外一人旅 pic.twitter.com/NsZ7ozIQTD
— さくら🌎海外一人旅 (@sakusakuchan9) 2023年5月13日
日没~早朝にかけてはとても寒いが陽が射してくると上着なしでも平気なくらい暖かくなる。汗ばむこともあり体温調節が大変。風通し用チャックがついているウインドブレーカーがオススメ。
Sさんがドローンを操縦しだすと子供たちがわらわら集まってきた。男の子はやっぱりこういう機械が好きみたい。
これは後日Sさんに送ってもらった動画。空から見るとゲルや家畜小屋の位置関係などがよくわかる。家畜もよく見ると羊と山羊で左右にわかれている。人間に追いかけられて左右に分かれる様子など、とても興味深く素晴らしい映像。何度も繰り返して見てしまう。
和らいだ気持ちになることはある?
— さくら🌎海外一人旅 (@sakusakuchan9) 2023年5月19日
自分のなかに安らぎを見つけようとしたことは?
歌を歌ってただそれを聞くだけで幸せになれたことは?
ひとつも当てはまらなかった人はモンゴルに行くべき。 pic.twitter.com/KVraZbIEum
ツイートの文章はオリビア・ニュートン=ジョンのそよ風の誘惑から和訳。
エジプトの砂漠でも感じたが、何もない大地をぼーっと眺めるのは楽しい。
人や車、建物もなく、動くものといえば家畜くらい。
家畜を眺めながら、昨日ゆるっとモンゴル人ガイドに「日本人は落ち込んだ時何をする?私は最近、一番信頼していた友人に裏切られてしまった。」と聞かれたことを思い出していた。
昔は友人は多ければ多いほうがいいと思っていた。携帯の電話帳は上限まで登録があったし、mixiやFacebookの友人は1,000人を超えていた。女子会や合コンも私が先導して企画したり、海外旅行も大人数で行ったりした。そんな自分に満足していたが心の底では「これって本当に楽しい?」と自分に問いかけることもあった。そんな思いを抱きながらもそのまま流されて生きていたら、同じように友人に裏切られてしまった。
そこで全ての人間関係をリセットして海外一人旅を始めることになった。
海外一人旅デビューに向け、まずは日本で英会話教室に通い、単独行動を始めた。
最初にしたのは一人で飲食店に行くこと。牛丼屋でもなくファミレスでもなく、高級フレンチを一人で食べに行った。これまで一人で食事するなんて到底無理だと思っていたが、案外簡単だった。
お店側も気を遣ってくださり半個室の席を用意してくれた。「スイスの寄宿学校が・・・」なんて話している軽井沢マダム達の会話を聞きながら食べる1万円のコース料理はとても美味しかった。
そのあとは国内一人旅にもチャレンジ。初めて一人で宿泊した船山温泉は今も年に一度は一人で宿泊しているし、社長とも仲良くなった。
幸いにも旅先での出会いに恵まれ、どちらでも嫌な思いをすることなく楽しく一人旅を満喫できた。どちらかで一つでも嫌な思いをしていたらきっと海外一人旅は諦めていただろう。
その後無事に海外一人旅デビューを果たし、今に至る。
一人高級ランチや一人温泉宿があまりにも心地良く、今ではほとんどが一人旅。一人旅を優先にしてしまうので友人からの誘いも断り気味。そのため友人もかなり減ったが、昔より今のほうが人生が充実している。
たまに「年取ったら後悔するよ。」と言われる事もある。それはその時考えればいい。
放牧されていた馬と遊牧民たちが帰ってきた。
馬とモンゴル人。 pic.twitter.com/foPSElJKzh
— さくら🌎海外一人旅 (@sakusakuchan9) 2023年5月7日
モンゴルでの最後の夕食は初日の夕食と同じ。
今度は女の子2人組が合流。私は先輩風を吹かせて、ここの暮らしについて2人にいろんな説明をしたのだがよく考えたらモンゴルに来てまだたったの3日。3日が昔に感じるくらい濃厚な日々を過ごしているということか。
2人はとても勉強熱心でガイドさんたちの言葉を文章や絵を交えノートに書き留めていた。
そのうちの一人、Haruちゃんが書いたnoteにもぜひ目を通してほしい。勉強になることばかり書かれている。
私の隣のゲルに住んでいるモンゴル人。彼らはモンゴル語しか話せないので会話はできなかった。顔が隠れてしまったが奥のモンゴル人は結構なイケメンだった。
夜になると柵の中に戻される羊と逆で、牛はここで眠るようだ。
今日は満月。エジプトでも満月を見た。モンゴルもエジプトも時期を誤って星空を見られなかったが、異国でのお月見もいい。
明日は帰国。初日はモンゴルに来たことを後悔して早く帰りたいと思ったが、どんなに不便でもこの暮らしをもう少し続けたいと思った。最後の夜だと思うと眠るのがもったいなくてガタガタ震えながらずっと満月を眺めていた。
朝6時ごろ。雲の切れ間から薄明光線が降り注いでいた。結局、滞在中はほとんど曇りだったがこの景色も悪くない。
馬はすでに放牧されていた。
昨日登った丘のあたりにも家畜が。
遊牧民の朝仕事は牛の乳しぼりから。簡単そうに見えて意外に難しい。搾りたての牛乳が朝食のスーテーツァイになる。
モンゴルの朝は牛の乳搾りからスタート。乳搾り中に蹴られないように後ろ足を縛っている。素人がやってもほぼ出ないが、お母さんのバケツは瞬く間に満タンに。野菜が育たない草原では牛乳はとても貴重な栄養源。2023/05🇲🇳 pic.twitter.com/NkVyY0BK4A
— さくら🌎海外一人旅🛫next🇻🇳 (@sakusakuchan9) 2023年6月10日
子供たちは一つのベッドに3人で寝ている。
家畜小屋に隣接している小さな小屋は食糧庫。冬の間は生肉もここで保管。夏は小さな冷蔵庫をゲル内に設置するそうだ。
モンゴル最後のご飯はボルソックとスーテーツァイ。水が貴重なモンゴルだがスーテーツァイは母屋に入れば勝手に出てくるので、好きな時に好きなだけ飲むことができる。
空港への送迎までまだ時間があったのでゆっくりしていたら、「道が混んでるので今すぐ出発するよ!」と言われめちゃくちゃ急かされて荷造り。みんなに別れの挨拶も出来ず車に詰め込まれてしまった。
空港は日本人ばかり。チンギスハーン国際空港は日本の支援で建設されたため成田や羽田に似ている。お土産物屋は閉まっている店もあった。
本当は空港へ向かう途中スーパーに寄る予定でツアーの申込時にそう伝えていたのだが、現地ドライバーは何も知らされていなかったようでどこにも寄らずに空港へ着いてしまった。
郊外のローカルスーパーだとカードも米ドルも使えないことが多いので現地通貨に両替してくるようツアー会社の受付の方に言われたため¥5,000分両替していた。空港ではめぼしい物がなく半分ほどしか使い切れず、お金を無駄にすることになってしまった。
空港のゴールデンゴビで買ったチョコ。一度溶けたものが固まったようで底にチョコが固まっていた。その上不味かった。おススメしない。
空港の周りは草原が広がっている。
ウランバートル発便の機内食は行きよりレベルダウン。飲み物の氷もなし。CAにはモンゴル人に間違えられてモンゴル語で話しかけられる。
着陸時にかなり機体が揺れて久しぶりに怖い思いをした。
成田到着時、モンゴル人に間違えられ在留者レーンに案内されたりしたが(2度目)、無事に帰国することができた。
ウランバートルから成田へ。
— さくら🌎海外一人旅🛫next🇻🇳 (@sakusakuchan9) 2023年6月1日
富士山の横に奇妙な笠雲が☁️ pic.twitter.com/AyMZ5XjXJd
◆モンゴル旅行の費用内訳
・成田⇄ウランバートル航空券
¥86,000
・遊牧民宅ホームステイ
(空港送迎、食事、乗馬2回分、ナライハへのシャワー利用・送迎、繁忙期追加料金等)
¥60,000
・両替したけど使えなかったお金
¥5,000
計¥151,000
GW中だったのでかなり高め。通常なら往復で5万円以下の航空券もある。遊牧民宅ホームステイを実施している旅行会社は少ないが、大手旅行会社を通すよりは安かった。
◆女一人旅のおすすめ度 ★★★☆☆
・空港から直行直帰。
ツアーに申し込めば遊牧民地⇔空港間の送迎あり。公共交通機関を使うこともなく安心。
・一人旅気分に浸りたい人には不向き。
日本人が経営している旅行会社からホームステイを申し込んでいるので、当然日本人しかこない。今回のような繁忙期には初対面の日本人たちと生活を共にすることになる。
・一人旅デビューするにはうってつけの場所。
一人旅気分には浸れないものの、モンゴルに行くような変人同士(誉め言葉)なら初対面でも緊張せずすぐに打ち解けられるし、何か困ったことがあってもすぐに助けてもらえる。みんなモンゴルのようなマイナー国への渡航歴があるので、次の旅の参考にいろんな話を聞かせてもらうことができた。
・もし滞在中一人になりたければ、ゲルの中や丘の上で一人でぼーっとするのがいい。
モンゴル人は積極的に絡んでくるタイプではないので良い意味で放っといてくれる。
◆5月のモンゴル旅行で持って行ったほうがいいもの
・モンゴル語指差し会話帳(理由は後述)
・子供たちへのおもちゃ(しゃぼん玉など)
遊牧民宅では家畜の世話等の仕事があるがそこまで忙しくないので、ぼーっとすることも多かった。退屈な時間が苦手な人は子供と遊べるものがあるといい。
・首から掛けられる小さな懐中電灯
夜間は月の光しかないのでトイレで悲惨なことにならないためにも必須。私はこれを持参した→
・モバイルバッテリー
◆モンゴル旅行の残念だったところ
・日本のツアー会社と現地遊牧民の連携ができていない
申込時にツアー会社の方と日本語でメールと電話の両方でやり取りをして、その時点では私の要望(スーパー立ち寄り、一人部屋)はしっかりスケジュールに組み込んであった。
2日目からは同部屋の方が帰国したためたまたま一人部屋になれたが、前回の旅行記に書いた通りさまざまな理由から一人部屋は必須だったのでたった一晩でもキャンセルして別のゲルに滞在しようとも考えたくらい残念だった。※滞在中に差額は返金してもらえた
また、地元のスーパーは海外旅行では絶対に行きたい場所の一つだったので更にがっくり。これがモンゴル人と私の間でのやりとりなら多少の行き違いは仕方ないので気にしないが、間に日本人が入っていて日本語で話しているのにも関わらずこのようなミスが多発してしまうのはとても残念だ。
・遊牧民とコミュニケーションを取りたいなら指差しモンゴル語会話帳は必須
ツアー会社のHPにはモンゴル語会話帳がゲルに置いてあると書かれていたが置いていなかった。遊牧民は簡単な英語、日本語(「みず」「ごはん」など)はわかってくれるが、基本的にみんなシャイなので向こうから積極的にコミュニケーションを取ってくれることはほとんどない。自分からガツガツいきたい人は会話帳は必須。
・空港のお土産物はお粗末
どこの国も空港のお土産は高くイマイチだと思うが、ここでは溶けたチョコが包装紙から溶け出て固まったようなものが売られていた。いくら職場へのバラマキ土産でも配れる代物ではなく全部ゴミ箱へ。食品管理には期待できない。
・ゲル洗面台の水には注意
ゲルではタンクに入れた水を使えるが滞在中に追加や交換はなし。いつから置いてあるかわからないので歯磨きや洗顔はペットボトルの水がいい。洗顔中、目に水が入った時少し痛かった。
・帰国後謎の胃痛に悩まされる(モンゴルは無関係かも)
帰国2日目位から胃痛が2週間近く続いた。我慢できる程度なので病院には行かなかった。モンゴルでの飲食が原因かどうかは定かではない。
・機内でイヤホン使わずに動画を見るモンゴル人多数。
CAも注意しないので近くの席になったら最悪だろう。CAに注意してほしいと頼めない方は耳栓持参がおすすめ。私も言えなかったので耳栓を使っていた。
◆モンゴル旅行の良かったところ
・日本語ガイド手配は追加料金がかかるのでお願いしていなかったが、誰かしら日本語を話せる人がいてくれたので生活する上で困ることはなかった。
・いろいろ不満があっても最終的には全て気にならなくなり、帰りたくないと思える。
壮大な景色、可愛い家畜たちにシャイなゆるっとモンゴル人たち。
遊牧民の暮らしは基本的に時間に縛られることはなく、悠々自適。口数も少なくシャイなので「歓迎されていないのでは?!」と思うかもしれないが実際には優しい性格。
潔癖症ぎみな私だけど今までの海外旅行の中でも一番非日常的な体験ができた旅行だった。遊牧民の生活はもう一度体験してみたい。
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