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【エジプト5泊7日】はじめての砂漠、はじめての野宿。孤独感がたまらなく気持ちいい③


開けっ放しの窓から爽やかな風が吹いてきて、自然と目が覚めた。
蒸し暑い日本と真逆のとても爽やかな朝だ。

 

 

 

■オアシスの朝

朝のエジプトは涼しくて爽やか。中庭でぼーっとしていたら、お父さんがめちゃくちゃ甘いコーヒーとお菓子をくれた。エジプト人はコーヒーまたは紅茶1杯に砂糖をスプーン2~3杯入れるのが当たり前だそう。
このお菓子はあまり美味しくなくて(失礼)、イチゴのクリームは古い口紅のような味がした。

 

朝食ができた。
再びアエーシと餡子のような甘い豆のペースト(フール)、オムレツ。アエーシは歯ごたえがあり意外にお腹に溜まるので少し残したが、他は完食。

 

AM11時頃、いよいよ砂漠ツアーに向けて出発。
明日カイロに戻る前に部屋でシャワーを使わせてくれるそうで、荷物もそのまま置かせてもらえた。

 

玄武岩の黒砂漠

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最初に向かったのは玄武岩の黒砂漠。バハレイヤ・オアシスから車で30分ほど。
日差しはキツイけど乾燥しているからかそこまで汗はかかないが、熱中症に注意。


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小さな丘の上に登ってみた。足元には玄武岩がたくさん。軽そうに見えるけど、鉄分が多いので持ってみるとズッシリしている。


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丘のふもとのほうには貝殻もたくさんあった。はるか昔、ここは海の底だったのだ。

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視界に入るのは砂漠と玄武岩。他の生き物はいない。この広い砂漠に自分ひとり、自分の呼吸と風の音しか聞こえない。


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今日から2日、ガイド・ドライバー・コックを務めてくれるムハンマド(30歳)


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ムハンマドSNSでの集客にも力を入れているようで、SNS映えするスポットをたくさん知っている。写真も上手い。「この石の上に立って!」などいろんな細かい指示も出してくる。結構危ない場所にも立たされる。

 

■砂漠の温泉(鉱泉

黒砂漠には温泉もあった!これは日本のプールより少し暖かいくらいの鉱泉。加水・加温・消毒一切なしの源泉掛け流し。含鉄泉のようで鉄の匂いが凄い。縁にも鉄分がびっしり。

 

浴槽には藻が生えているし、お世辞にも綺麗とは言えないがとても気持ちのいいお湯だった。海外の温泉に入るのは夢だったので夢が叶って嬉しい。いつかアイスランドハンガリーの温泉にも入りたい。

更衣室なんて気の利いたものはないので車の中で着替えるしかない。今回は平日の昼間だったので私以外いなかったが、地元民で賑わうこともあるようだ。※日本の温泉と違って水着着用必須

動画はこちら。

 

 

■超ローカル食堂でのランチ

温泉で汗を流した後はムハンマドの友人が経営するカフェで昼食をとる。

真夏にエアコンもない店内。チーズやチョコレートが常温で置いてある。ホコリをかぶったお菓子もある。これで生活していけるのか不安になったが、彼らはそんなことは気にせずにゆったり暮らしているようだ。

トマト、きゅうり、玉ねぎをマヨネーズであえたようなもの。これをアエーシに挟んで食べるとなかなか美味しかった。酸味があるので疲労を回復できた気がする。

 

鰯の缶詰と紫玉ねぎにライムを絞ったもの。ライムの爽やかさに鰯の塩味が絶妙だった。エジプトでは生野菜は食べるなと言われていたけど全部食べてしまった。

 

トマト、玉ねぎ、卵を炒めたもの。半熟卵ではないが、たぶんシャクシュカと言われるものだと思う。これもアエーシに挟んで完食。

 

ポテトチップスまで出てきた。日本と同じ塩味。

 

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ムハンマドの友人。とても気さくな方で、「ヘイ!ジャパニーズ!中国人より日本人が好き!!」と言っていた。エジプトはアフリカ大陸に位置しているが、アラブ諸国同様、眉毛やまつ毛が濃く、アーモンド型のパッチリした目をしている人が多い。

ここにも猫がたくさんいる。外にはベドウィンスタイルの寛ぎ処。秋にここで昼寝なんかしたら最高だろう。

 

■クリスタル・マウンテン

クリスタル・マウンテンにやってきた。離れてみるとただの岩だが・・・

 

実は水晶でできた岩だった。写真では伝わりにくいが太陽の光でキラキラと輝いている。昔は水晶を持ち帰ることも出来たが、今は数が減っているため禁止されている。

 

 

 

ランクルのルーフキャリアに乗って砂漠を爆走

ルーフキャリアの上に乗ってみる?と言われたので写真だけ撮ってもらおうと思ったが、ムハンマドはこのまま走り出した。揺れがすごく振り落とされそうになりながら、必死にキャリアを掴んだ。
今回の度はコロナ禍の海外旅行と言うことで、クレカ保険とは別に海外旅行保険に加入していた。落ちて死ぬ自分の姿だけが頭によぎり、「手厚い保険に入っていて良かった」と心から思った。
だけど、これを書いている今、もう一度乗せてほしくてたまらない。怖かったが同時に一番楽しい思い出でもある。

動画はこちら。


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アラビア語で「困難」を意味する「アガバト山」。大昔、ベドウィンはこの山を越えてデーツを輸出していたそうだ。

 

ムハンマドの秘密のスポット

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ムハンマドの秘密のスポットへやってきた。石灰岩が大きくえぐれて洞窟のようになっている。

 

あまりの感動に言葉が出なかった。

 

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自然が作り出した美しすぎる曲線。ここには一日いても飽きない。カーブの上部のブツブツしているものは全て貝の化石。昔は海の底だった場所。

 

 

■サンドスキーで流血

とても面白い動画が撮れたが、転んだ瞬間に2本の指の皮が剥けて流血してしまった。
幸い絆創膏を持っていたので良かったが、車に救急箱のようなものはないので不安な方はいろいろ持って行ったほうがいい。
再びムハンマドに会うことがあれば、日本のプラスチック製のソリをプレゼントしたい。

 

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だんだん日が沈んできた。たくさんの撮影スポットを回り、今日の寝床へ向かう。

 

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マッシュルームとチキンの岩。

 

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ここは一番の人気スポットなので他のツアー客にも遭遇した。フランス人の家族×2組。車は全部が90年代のランドクルーザー

 

■砂漠の夜が始まる。忘れられない最高の夜。

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マッシュルームとチキンから少し走って、この辺りで一夜を過ごす。
ムハンマドが車の隣に寝床を設営し、食事を作ってくれている。何か手伝おうか?と聞いたが、大丈夫と言われたので大きな石灰岩の上で夕日を眺めることにした。
太陽が沈む瞬間って、よく考えたらあまり見たことないかもしれない。何も考えず、ただ夕日を眺める。贅沢な時間。

 

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右側の平らな石灰岩の上が気に入った。ここは今日と明日”私の場所”にする。
この写真をSNSに掲載したところ、砂漠に雪が降るの?と聞かれた。確かにこれだけ見ると雪が積もっているように見える。もしここに雪が降ったら一面真っ白で面白いだろう。

日が沈んだ砂の上を裸足で歩く。ひんやりしていて気持ちがいい。
はるか向こうのほうに焚火の灯りが見えた。途中ですれ違ったフランス人家族だろうか。太鼓を叩くような音と、楽しそうな歌声も聞こえてくる。

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”私の場所”でぼんやりしていたらいつの間にか暗くなっていた。
月が昇る前に星空を撮影したが、日が沈んだ直後で周囲がまだ明るかったため上手く撮影できなかった。やはり星空は冬がオススメらしい。

 

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月が昇ってきた。初日の出は毎年見るけど月が昇るのを眺めるなんて、もしかしたら初めてかもしれない。
この日は満月の翌日、十六夜の月でとても明るい。星は消えてしまうが、これはこれで綺麗。砂漠でお月見。

 

夕食が出来た。前菜はフルーツ。スパイスご飯、サラダ、ジャガイモのトマト煮(昨日の残り?)、炭火で豪快に焼かれたチキン。
塩だけで味付けされたシンプルな味のチキンはとても美味しかった。胸肉だけどパサパサせず、食べ応えがある。食べ応えがあり過ぎて、一つしか食べられなかった。
食事をしながらムハンマドといろいろな話をした。エジプトと日本の出生率の違い、安倍晋三元首相の暗殺、同性愛について(イスラム教では違法)、エジプト人が日本の観光ビザを取得することの難しさなどなど。

 

食事のあと、焚火の近くに移動してシーシャとフレッシュミントティーをもらった。
改めて考えると、初対面の異性と砂漠で2人きりって結構すごい。我ながらよくやってる、と思う。
もしここでムハンマドに殺されたら、砂に埋められて誰にも気づかれず自然に還るんだろうか。殺されたくはないけど、ここの居心地が良すぎて死んだらここで風葬にしてほしいな、なんて思ったり。

ムハンマドが寝た後、”私の場所”から再び星空を撮影。眩しいくらいに月が輝いていた。
フランス人家族も寝たようで明かりが消えた。月と星の光以外何もない。今この世界にいるのは私だけのよう。私は昔から一人で行動するのが好きで、一人でいろんな場所に出かけたけど、この瞬間、心から一人が心地良いと思った。一人だけど孤独ではない、心は充分に満たされている。

女性はどうしても群れで行動したがる生き物で、それに疲れている人も多い。私も昔はそうだった。一人旅を始めたきっかけも、その疲れからだった。同じように人間関係に疲れている人はこの景色を生で見てほしい。そんな悩みなんて一瞬で吹き飛ぶはず。
写真や動画のように今の気持ちを記録して共有できる媒体があればいいのに。

一日中歩いて、たくさんの汗をかいて相当疲れているはずなのに何故か眠くない。眠ったら朝が来てしまう。この素晴らしい一人の夜が終わってしまう。
寂しいけど、明日からもエジプトを目いっぱい楽しむために体力を温存しなければいけない。無理矢理眠りにつくことにした。

 

 

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